【源泉所得税】納期の特例を取りやめると納付期限はどうなる?
― 従業員が10人を超えた場合の実務対応 ―
■ 事例(質問)
当社はこれまで従業員が10人未満であったため、
源泉所得税の「納期の特例」を適用し、
- 年2回(7月10日・1月20日)
にまとめて納付していました。
しかし今般、事業拡張により支店を開設し、
従業員が10人を超える見込みです。
今後は納期の特例の要件を満たさなくなると思われますが、
どのような手続が必要で、納付期限はどのようになりますか。
■ 【論点整理】この事例の重要論点
本件の論点は次の通りです。
✔ 納期の特例の適用要件を満たさなくなった場合の手続
✔ 届出書の提出義務
✔ 届出後の源泉税納付期限
✔ 特例から通常納付への移行タイミング
👉 給与支払事業所では極めて頻出の実務論点です。
■ 結論(最重要)
従業員が常時10人未満でなくなった場合は
👉 速やかに
「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」
を提出する必要があります。
(根拠:所得税法218条)
■ 納期の特例とは(基礎整理)
通常
源泉所得税は
👉 給与支払月の翌月10日まで納付
しかし
従業員が常時10人未満の事業所は
👉 年2回での納付が可能
納期特例のスケジュール
| 対象期間 | 納付期限 |
|---|---|
| 1〜6月分 | 7月10日 |
| 7〜12月分 | 1月20日 |
■ 要件に該当しなくなった場合の実務
必要手続
| 手続 | 内容 |
|---|---|
| 届出書提出 | 税務署へ提出 |
| 提出期限 | 遅滞なく |
| 提出先 | 給与支払事務所所在地税務署 |
(根拠:所得税法218条)
■ 届出後の納付期限(最重要)
届出提出後は
👉 通常の納付期限へ移行
例(9月に届出提出した場合)
| 支払期間 | 納付期限 |
|---|---|
| 7〜8月分 | 10月10日 |
| 9月分 | 10月10日 |
| 10月分以降 | 翌月10日 |
(根拠:所得税法219条)
■ 実務上の注意点
✔ 従業員数は「常時」で判定
→ 一時的増員ではない
✔ 支店単位ではなく
→ 事業所単位判定
✔ 届出を忘れると
- 延滞税
- 不納付加算税
のリスクあり
■ 税務調査で見られるポイント
- 人員管理資料
- 給与台帳
- 支店開設日
- 届出書提出日
- 納付遅延の有無
👉 源泉税は重加算税対象になりやすい税目です
■ まとめ
- 従業員10人超 → 特例適用不可
- 届出書提出が必要
- 提出後は通常納付へ移行
- 納付期限管理が最重要
- 実務では人員増加時に必ずチェック