【税務実務】決算賞与は当期の費用にできる?
〜3つの要件と実務上の注意点を公認会計士が分かりやすく解説〜
「当期は利益が出そうなので、社員に臨時賞与を支給したい」
これは企業経営において非常によくある判断です。
しかしここで多くの経営者・経理担当者が悩むのが、
👉 決算賞与は未払いでも当期の費用(損金)にできるのか?
という点です。
結論から言うと、
一定の要件を満たせば未払いでも当期費用にできます。
本記事では、
✔ 税務上の基本ルール
✔ 実務での具体的な対応方法
✔ 税務調査で指摘されやすいポイント
を、プロの会計士・税理士の視点から分かりやすく解説します。
■事例
当社は3月決算法人です。
当期は業績が好調で利益が見込まれるため、
社員30名に対し臨時の決算賞与を支給することを
3月の取締役会で決定しました。
賞与の支給は4月予定です。
👉 この場合
3月末で賞与を費用計上できるでしょうか?
■結論
次の「3つの要件」を満たせば
未払いでも3月期の費用(損金)にできます。
■決算賞与を当期費用にするための3要件
① 各人別に支給額を通知していること
- 「総額で○○円支給予定」ではNG
- 必ず
👉 社員一人ひとりの支給額を明示する必要があります
さらに重要なのは
👉 対象となる全員に同時期に通知すること
② 通知後1ヶ月以内に支払うこと
3月決算の場合
👉 4月30日までに実際に支払う必要があります
これは非常に重要な要件です。
1日でも遅れると
❌ 当期費用にできない
❌ 全額翌期費用になる
というリスクがあります。
③ 当期に損金経理(費用処理)していること
具体的には
3月末に次の仕訳を行います。
(借方)賞与 ××× /(貸方)未払費用 ×××
👉 単なるメモではなく
正式な会計処理が必要です。
■実務で最も重要なポイント(ここが税務調査で見られる)
決算賞与は税務上、
利益調整に使われやすい項目のため
税務調査で非常によくチェックされます。
特に見られるのは次の点です。
✔ 通知の証拠はあるか
例えば
- 支給通知書
- 社内メール
- 人事システム通知履歴
- 取締役会議事録
これらがないと
👉 「本当に期末までに決定していたのか?」
と疑われます。
✔ 支払遅延はないか
- 振込日
- 給与明細
- 銀行振込データ
は必ず保存しておく必要があります。
✔ 支給対象者が変わっていないか
例えば
- 通知したが支給時に金額変更
- 一部社員に支給しなかった
この場合
👉 要件不充足と判断される可能性があります。
■もし3要件を満たさなかった場合
この場合はシンプルです。
👉 支払った日の属する事業年度の費用になります。
つまり
- 3月に未払計上しても税務上は否認
- 4月期の損金
となります。
■実務アドバイス
決算賞与を活用する場合は
次の手順で進めると安全です。
① 3月中旬までに利益見込みを確定
② 支給額を各人別に決定
③ 通知書を配布(証拠保存)
④ 3月末に未払計上
⑤ 4月中に必ず支払
👉 この流れを
決算スケジュールに組み込むことが重要です。
■まとめ
決算賞与は
✔ 節税
✔ 従業員還元
✔ モチベーション向上
という意味で非常に有効な制度です。
しかし
👉 形式要件を1つでも満たさないと
全額否認されるリスクがあります。
そのため
「決算直前に慌てて決める」のではなく
計画的な実務対応が不可欠です。