関係会社と関連会社の違いとは?
会計・税務・実務で混同しやすい用語をプロが徹底解説
決算書や有価証券報告書、税務資料などを読んでいると、
- 関係会社
- 関連会社
という言葉が頻繁に登場します。
しかし実務の現場では、
「この2つって、何が違うの?」
「どっちも“つながりがある会社”という意味では同じでは?」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
実はこの2つ、
似ているようで、意味も使われる場面もまったく違う言葉です。
この記事では、
会計士・税理士の実務視点から、
- 関係会社と関連会社の定義の違い
- 会計基準上の扱い
- 税務・開示・監査での実務上の注意点
を、初心者にも分かるように丁寧に解説します。
1.まず結論:関係会社と関連会社はこう違う
最初に、ざっくり結論から押さえましょう。
| 用語 | 性質 | ポイント |
|---|---|---|
| 関係会社 | 総称・広い概念 | つながりのある会社全体 |
| 関連会社 | 会計上の用語 | 持分法の対象になる会社 |
👉
関連会社は関係会社の一部、
という関係にあります。
2.「関係会社」とは何か?
関係会社は「法律用語・実務用語」
まず「関係会社」ですが、
これは会計基準で厳密に定義された専門用語ではありません。
一般的には、
自社と資本関係・人的関係・取引関係など、
何らかの関係がある会社の総称
として使われます。
関係会社に含まれる会社の例
実務上、「関係会社」と呼ばれることが多いのは、次のような会社です。
- 親会社
- 子会社
- 関連会社
- 兄弟会社
- グループ会社
- 実質的に支配・影響を受けている会社
👉
かなり幅の広い、あいまいな概念であることが分かります。
どんな場面で使われる?
- 契約書
- 社内規程
- 税務資料
- 実務上の説明
などで、
「当社および関係会社は~」
といった形で使われることが多いです。
この場合、
- 「子会社だけ」
- 「関連会社まで含むのか」
は、文脈や定義次第になります。
3.「関連会社」とは何か?
関連会社は「会計基準上の用語」
一方、「関連会社」は、
はっきりとした会計上の定義がある専門用語です。
簡単にいうと、
子会社ではないが、
経営に重要な影響を与えている会社
を指します。
関連会社の代表的な要件
会計実務では、次のような基準で判断されます。
一般的な目安
- 議決権の 20%以上50%未満 を保有
- 経営方針に重要な影響力を持つ
👉
「支配はしていないが、無視できない存在」
というイメージです。
具体的な「重要な影響力」とは?
例えば、次のようなケースです。
- 取締役を派遣している
- 重要な意思決定に関与している
- 技術・資金面で大きな影響を与えている
このような場合、
持株比率が20%未満でも関連会社になることがあります。
4.子会社・関連会社・その他の関係を整理
ここで、よく混乱する用語を整理しておきましょう。
| 区分 | 支配・影響の度合い | 会計処理 |
|---|---|---|
| 子会社 | 支配している | 連結対象 |
| 関連会社 | 重要な影響力 | 持分法 |
| その他の関係会社 | 関係はあるが影響小 | 原則個別 |
5.会計処理の違いが最大のポイント
子会社:連結決算
子会社は、
- 親会社が支配
- 経営判断をコントロール可能
という前提から、
連結財務諸表に取り込む必要があります。
関連会社:持分法
関連会社は、
- 支配まではしていない
- ただし重要な影響力あり
という立場のため、
持分法
という方法で会計処理を行います。
持分法とは?
簡単に言うと、
- 関連会社の利益や損失
- 自社の持分割合分だけ
を、自社の損益に反映させる方法です。
👉
「連結ほど重くないが、完全無視もしない」
中間的な処理です。
6.関係会社には会計処理のルールはない
ここが重要なポイントです。
- 関係会社
→ 会計処理のルールは存在しない - 関連会社
→ 持分法という明確な処理ルールあり
つまり、
「関係会社だから会計処理が必要」
という考え方は誤りです。
7.税務実務での違いと注意点
税務では「関係会社」という言葉が多用される
税務の世界では、
- 関係会社
- 特殊関係者
といった言葉がよく使われます。
これは、
- 租税回避防止
- 移転価格
- 寄附金認定
などを目的とした概念です。
税務上の「関連会社」とは?
税法では、
会計上の「関連会社」と
必ずしも一致しません。
税務では、
- 持株比率
- 実質的支配関係
などを重視します。
👉
会計と税務で定義がズレる
のは、実務で非常に重要な注意点です。
8.開示・監査での実務上の注意点
開示書類での使い分け
有価証券報告書や注記では、
- 子会社
- 関連会社
は明確に区分して開示する必要があります。
一方で、
- 関係会社
という言葉は、
説明的な文脈で使われることが多いです。
監査でよく指摘されるポイント
- 関連会社の判定が甘い
- 「20%未満だから対象外」と決めつけている
- 実質的影響力を考慮していない
👉
形式基準だけで判断しない
ことが重要です。
9.M&A・組織再編での実務的な違い
M&Aでの関係会社・関連会社
M&Aの現場では、
- 関係会社取引
- 関連会社株式の取得
などの言葉が頻出します。
実務で重要な視点
- 連結対象になるのか
- 持分法になるのか
- のれん・評価への影響
👉
関連会社かどうかで、会計インパクトが大きく変わる
ケースも少なくありません。
10.初心者が混乱しやすいポイントまとめ
よくある誤解
- ❌ 関係会社=関連会社
- ❌ 株を少し持っていれば関連会社
- ❌ 20%未満なら絶対に関係ない
正しい理解
- 関係会社:広い概念・総称
- 関連会社:会計基準で定義された会社
- 判断は「実質」が重要
まとめ|違いを一言でいうと
最後に一言でまとめます。
関係会社は「つながりがある会社の総称」、
関連会社は「会計上、持分法で処理する会社」
この違いを理解しておくと、
- 決算書の読み方
- 税務・監査対応
- M&Aや組織再編
すべてがぐっと分かりやすくなります。