【初心者向け】評価損益の税務実務を完全整理
―「会計でOK」でも「税務でNG」になりやすい典型論点 ―
評価損益は、
- 決算調整で頻繁に登場する
- 会計と税務の考え方がズレやすい
- 税務調査で否認されやすい
という、実務上かなり危険度の高い論点です。
税務では、評価損益について一貫して、
「未実現の損益は原則として認めない」
という考え方が取られています。
この記事では、
評価損益の基本 → 税務上の原則 → 認められる例外 → 実務上の注意点
を体系的に整理します。
1.評価損益とは何か?
評価損益の基本的な考え方
評価損益とは、
資産・負債を時価等で評価し直したことにより生じる損益
をいいます。
つまり、
**実際に売却・決済していない段階の損益(未実現損益)**です。
主な評価損益の例
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| 有価証券 | 時価下落による評価損 |
| 固定資産 | 減損処理 |
| 棚卸資産 | 評価損 |
| 金融商品 | デリバティブ評価損益 |
2.税務上の大原則(最重要)
税務の基本スタンス
法人税法では、評価損益について、
原則として損金算入・益金算入を認めない
と考えます。
理由は明確です。
- 評価は主観が入りやすい
- 利益操作が可能
- 客観性に欠ける
👉 「実現していない損益は信用しない」
これが税務の本音です。
3.評価損が税務上認められる例外
ただし、一定の場合には
評価損の損金算入が認められます。
① 棚卸資産の評価損
| ケース | 税務上の取扱い |
|---|---|
| 破損・陳腐化 | 認められる可能性あり |
| 災害・事故 | 原則認められる |
| 単なる値下がり | 原則不可 |
| 売れ残り | 原則不可 |
👉 客観的な価値下落の証拠が必須です。
② 有価証券の評価損
| 有価証券 | 評価損の可否 |
|---|---|
| 上場株式 | 原則不可 |
| 非上場株式 | 一定要件で可 |
| 破綻・著しい価値下落 | 可 |
👉 **「回復可能性がないか」**が判断基準。
③ 固定資産の減損損失
| 内容 | 税務上 |
|---|---|
| 会計上の減損 | 自動的に損金にならない |
| 税務上の評価損 | 要件充足で損金可 |
👉 会計と税務は完全に別物。
4.評価益はどう扱われるのか?
評価益についても、原則は同じです。
| 内容 | 税務上 |
|---|---|
| 評価益 | 原則、益金算入しない |
| 実現時 | 益金算入 |
👉 損だけダメ、益はOKではありません。
5.会計と税務がズレた場合の対応(別表四)
評価損益は、
会計と税務がズレる典型論点です。
典型例
| 内容 | 処理 |
|---|---|
| 会計:評価損計上 | 費用 |
| 税務:否認 | 別表四で加算 |
| 翌期以降 | 実現時に調整 |
6.実務でよくある評価損NG事例
NG事例①
「古い」「売れない」という理由だけで評価損
👉 主観的判断は即否認。
NG事例②
決算対策でのみ評価損を計上
👉 恣意性が強く、調査官の格好のターゲット。
NG事例③
会計でOK=税務でもOKと誤認
👉 減損・評価損は必ず税務検討が必要。
7.税務調査で必ず見られるポイント
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 評価損の根拠 | 客観資料の有無 |
| 継続性 | 毎期一貫しているか |
| 金額 | 利益との関係 |
| 会計との差 | 別表四調整 |
8.実務で失敗しないチェックリスト
- 評価損は未実現損益と理解しているか
- 税務上の要件を満たしているか
- 客観資料を保存しているか
- 別表四の調整漏れがないか
まとめ|評価損益は「税務が最も嫌う論点」
評価損益は、
- 数字を動かしやすい
- 説明が難しい
という理由から、
税務では最も慎重に扱われる論点です。
「会計で処理したから大丈夫」
は、評価損益では最も危険な思い込みです。