配当の源泉税と受取配当等の益金不算入との関係
― 「二重課税」を調整する2つの仕組み ―
次に、実務で非常によく混乱が生じる
配当の源泉税と
受取配当等の益金不算入の関係について整理します。
1.配当には2つの調整がある
法人が配当を受け取ると、
税務上、次の2つの調整が関係してきます。
- 受取配当等の 益金不算入
- 配当に係る 源泉所得税
この2つは目的も役割も異なります。
2.受取配当等の益金不算入の趣旨
受取配当等の益金不算入は、
法人間での配当について、
利益の二重課税を調整する制度
です。
配当の原資は、
- 配当元法人で
- すでに法人税が課された利益
であるため、
受取法人で再度フル課税すると
二重課税になります。
これを避けるため、
- 持株割合に応じて
- 一定割合を益金から除外
する仕組みが設けられています。
3.配当の源泉税の位置づけ
一方、配当には、
- 原則として源泉所得税
が課されます。
これは、
- 配当を受け取った段階で
- 形式的に課される税金
であり、
最終的な課税関係を確定するものではありません。
4.なぜ源泉税があるのか
源泉税は、
- 課税の確実性
- 申告漏れ防止
を目的とした、
技術的な徴収手段です。
そのため、
- 益金不算入で課税されない部分があっても
- 源泉税は一旦差し引かれる
という構造になっています。
5.両者の関係を整理する
全体像を表で整理
| 観点 | 受取配当等の益金不算入 | 配当の源泉税 |
|---|---|---|
| 目的 | 二重課税の排除 | 徴収の確実性 |
| タイミング | 法人税計算 | 支払時 |
| 最終的な扱い | 益金から除外 | 税額控除の対象 |
6.実務上の流れ
配当を受け取った場合の流れは次のとおりです。
- 配当金額が計上される
- 源泉税が差し引かれる
- 益金不算入により課税所得が圧縮される
- 源泉税相当額が 所得税額控除として法人税から控除される
ここで重要なのは、
益金不算入と源泉税は「相殺」される関係ではない
という点です。
7.よくある誤解
誤解①:益金不算入なら源泉税も不要
→ 誤りです。
源泉税は別の制度目的で課されています。
誤解②:源泉税があるから益金不算入はいらない
→ これも誤りです。
源泉税はあくまで仮の徴収にすぎません。
8.税務調査で見られるポイント
- 益金不算入割合が正しいか
- 源泉税を正しく所得税額控除しているか
- 仮払税金に残ったままになっていないか
特に、
- 源泉税を費用処理している
- 控除し忘れている
ケースは、非常によく指摘されます。
9.まとめ(配当関係)
- 益金不算入は 所得計算の調整
- 源泉税は 税額計算の調整
- 両者は役割が全く異なるが、実務では必ずセットで考える必要がある
総まとめ
- 仮払法人税等は「法人の税金の前払い」
- 所得税額控除は「個人の税金の立替分の精算」
- 配当では「益金不算入」と「源泉税」が二段構えで調整される
これらを
「誰の税金か」「どの段階の調整か」
という視点で整理できるようになると、
法人税実務は一気に分かりやすくなります。