自社株承継での具体的活用
― 精算課税を使うべきケース・使うべきでないケース ―
非上場株式(自社株)は、
相続税対策の中心論点です。
特に将来値上がりが見込まれる場合、
精算課税制度は有効な武器
になります。
1.なぜ自社株に向いているのか
精算課税は、
贈与時の評価額で固定される
という特徴があります。
つまり、
- 今は評価額が低い
- 将来業績拡大見込み
というケースで効果が大きい。
2.具体例
■ 前提
現在の自社株評価:3,000万円
将来予想評価:1億円
今、精算課税で贈与
→ 相続時も3,000万円で合算
評価差額7,000万円分が圧縮。
3.事業承継税制との関係
精算課税と事業承継税制は別制度。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 精算課税 | 評価固定 |
| 事業承継税制 | 納税猶予 |
両制度は組み合わせ可能。
4.活用が有効なケース
✔ 後継者確定済み
✔ 上場予定・業績拡大見込み
✔ 会社売却予定なし
✔ 長期経営前提
5.向いていないケース
❌ 将来売却予定
❌ 会社清算予定
❌ 後継者未定
精算課税後に株式売却すると、合算税額増加の可能性。
6.実務上の注意点
① 評価方法の選択
自社株評価は、
- 類似業種比準価額
- 純資産価額
- 配当還元価額
の判定が重要。
誤ると調査対象。
② 議決権割合
持株割合により評価方法が変わる。
支配株主かどうかは重要論点。
③ 二次相続対策
精算課税で移転した株式は、
相続時に合算される。
一次・二次相続トータルで判断。
7.シミュレーション比較
| 方法 | 今の税額 | 将来税額 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 何もしない | 0 | 高額 | 高 |
| 暦年贈与 | 少額 | 中 | 中 |
| 精算課税 | 低 | 低 | 低 |
※値上がり前提の場合
まとめ
自社株承継で精算課税が有効なのは、
「将来値上がりが確実視される場合」
です。
しかし、
- 事業承継税制
- 二次相続
- 納税資金
- 株式売却可能性
を総合判断しなければなりません。