生前贈与加算の改正ポイント
― 「3年」から「7年」へ。何が変わったのか? ―
相続税対策としてよく使われてきたのが「暦年贈与」です。
しかし近年の税制改正により、
相続開始前3年以内 → 最大7年以内
へと加算期間が延長されました。
本記事では、改正の内容・計算構造・実務への影響を整理します。
1.生前贈与加算とは何か
相続開始前の一定期間内に行われた贈与は、
相続税の計算上、相続財産に持ち戻される
という制度です。
目的は明確です。
- 直前贈与による相続税回避の防止
2.改正の内容
■ 改正前
相続開始前 3年以内 の贈与を加算。
■ 改正後
相続開始前 最大7年以内 の贈与を加算。
ただし、
- 延長された4年分については
- 一定額(100万円)控除あり
という緩和措置があります。
▼ 改正内容整理
| 期間 | 加算対象 | 控除 |
|---|---|---|
| 相続前3年 | 全額加算 | なし |
| 4~7年前 | 加算対象 | 100万円控除 |
※経過措置あり(段階的適用)
3.なぜ改正されたのか
近年、
- 高齢化の進展
- 相続直前の贈与急増
- 富裕層対策
などが背景にあります。
「毎年110万円贈与を続ければ相続税ゼロ」という節税スキームの封じ込めが目的です。
4.実務上の影響
① 長期贈与戦略の見直し
従来:
- 早めに贈与開始すれば問題なし
改正後:
- 相続発生時期の予測が重要
② 高齢者の贈与戦略に影響
80代以降で贈与を開始すると、
- 多くが加算対象
になる可能性大。
③ 二次相続への影響
配偶者が受けた贈与も、
- 二次相続時に加算対象
となる点に注意。
5.計算例
毎年110万円贈与を7年間実施
→ 合計770万円
相続発生時:
- 直近3年:330万円全額加算
- 4~7年前:440万円-100万円=340万円加算
→ 合計670万円加算
6.精算課税との比較
| 制度 | 相続時加算 |
|---|---|
| 暦年課税 | 最大7年 |
| 精算課税 | 全額 |
精算課税はもともと全額加算です。
7.実務チェックポイント
✔ 贈与開始時期
✔ 相続人以外への贈与か
✔ 記録保存
✔ 二次相続想定
8.よくある誤解
❌ 7年分すべて無条件加算
→ 100万円控除あり
❌ 110万円以下は加算なし
→ 課税対象外でも加算対象
まとめ
生前贈与加算は、
「短期節税」を防ぐ制度
です。
今後は
- 早期計画
- 長期視点
- 二次相続まで含めた設計
が必須となります。