海外転勤した社員の住宅を借上げた場合の税務
(非居住者への家賃支払いと源泉徴収の実務)
はじめに
海外赴任が決まった社員が日本国内に自宅を所有している場合、
👉 会社がその住宅を借り上げるケース
は実務で非常によくあります。
しかしこの場合
- 家賃は課税対象になるのか
- 源泉徴収は必要か
- 租税条約の影響はあるのか
- 社員側の確定申告はどうなるのか
など税務論点が多数発生します。
本記事では
海外転勤者の住宅借上げの税務処理を
初心者でも分かるよう整理します。
ケース
当社は社員Aを3年間米国へ派遣しました。
Aは日本で住宅を購入したばかりで住宅ローンが残っているため、
👉 会社がその住宅を借り上げ
👉 家賃を社員Aに支払う
ことにしました。
この場合
会社が支払う家賃の日本での課税関係は
どのようになるのでしょうか。
論点整理
このケースの重要論点は次のとおりです。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 居住者区分 | 海外赴任後は非居住者になるか |
| 所得区分 | 家賃はどの所得か |
| 源泉徴収 | 支払時に必要か |
| 租税条約 | 日本課税の可否 |
| 社員側手続 | 確定申告・納税管理人 |
海外赴任後の居住者区分
海外勤務予定が1年以上の場合
👉 出国日の翌日から
非居住者
になります。
居住者区分の整理
| 区分 | 判定 | 課税範囲 |
|---|---|---|
| 居住者 | 日本に生活拠点 | 全世界所得 |
| 非居住者 | 海外長期赴任 | 国内源泉所得のみ |
家賃の所得区分
社員Aが日本の住宅を会社へ貸す場合
👉 不動産所得
になります。
国内源泉所得の判定
| 所得の種類 | 国内源泉該当 |
|---|---|
| 日本の不動産の賃貸料 | 該当する |
| 海外不動産賃貸料 | 該当しない |
👉 不動産の所在地が基準
源泉徴収の必要性
非居住者へ
👉 国内源泉所得を支払う場合
会社は
源泉徴収義務あり
となります。
源泉徴収税率
| 支払内容 | 税率 |
|---|---|
| 不動産賃貸料 | 20.42% |
👉 復興税含む
租税条約の取扱い
日米租税条約では
👉 不動産所得
は
不動産の所在地国で課税可能
と規定されています。
租税条約整理
| 所得 | 課税国 |
|---|---|
| 不動産所得 | 不動産所在地国 |
| 給与所得 | 勤務地国原則 |
👉 今回は日本課税
社員側の確定申告
非居住者は
👉 総合課税で申告
が必要です。
ただし
👉 日本に住所がないため
納税管理人の選任
が必要になります。
非居住者の申告手続
| 手続 | 内容 |
|---|---|
| 納税管理人届出 | 必須 |
| 確定申告 | 翌年 |
| 必要書類 | 賃貸契約書等 |
実務でよくある注意点
会社側
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 税率誤り | 20.42%を忘れる |
| 条約誤解 | 不動産所得は日本課税 |
| 源泉漏れ | 税務調査で指摘多い |
社員側
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 納税管理人未選任 | 申告不可 |
| ローン控除不可 | 非居住者は原則不可 |
| 住民税影響 | 翌年注意 |
まとめ
海外赴任者の住宅借上げでは
✅ 海外赴任後は非居住者
✅ 家賃は国内源泉所得
✅ 会社は20.42%源泉徴収
✅ 租税条約でも日本課税
✅ 社員は確定申告必要
となります。