海外子会社に対する支援費用の請求

~海外子会社へ技術者を派遣した場合の移転価格・法人税実務~


■質問

当社は機械部品の輸入販売業者です。東南アジアのA国に製造子会社B社(当社100%出資)を設立し、現在B社から製品を輸入して国内販売を行っています。

最近、B社の受注が急増し工場設備の安定稼働が重要となったため、設備の保守・点検を実施する目的で当社から技術者を派遣する予定です。

派遣に伴い航空運賃、現地滞在費、給与等の費用が発生します。当社としてはこれらの費用をB社へ請求する予定ですが、どのような範囲の費用を請求すべきなのでしょうか。

また、請求金額の決定にあたり税務上どのような点に注意すべきでしょうか。


■論点整理

本事例の重要論点は次のとおりです。

論点内容
論点①B社は国外関連者に該当するか
論点②技術者派遣は役務提供取引となるか
論点③請求金額はどの水準で設定すべきか(移転価格)
論点④原価基準請求が認められるケース

1.国外関連者の判定

まず基本整理です。

■国外関連者とは

判定基準内容
出資割合50%以上
支配関係直接・間接含む
外国法人対象

👉 本事例

100%子会社 → 国外関連者


2.国外関連者との取引の税務原則

国外関連者との取引は

👉 独立企業間価格で行う必要

があります。

■独立企業間価格とは

内容説明
第三者価格通常の市場価格
利益水準独立企業並み
適正報酬無償提供不可

■価格調整イメージ

ケース税務処理
安く請求利益加算
高く請求損金否認
無償提供寄附金認定

👉 非常に重要な論点


3.本来業務に付随する役務提供

本事例のポイントです。

■役務提供の性格

観点判定
主業務輸入販売
派遣目的保守点検
技術提供特殊ノウハウなし

👉

付随的役務提供

と評価されます。


4.請求金額の決定方法

この場合は

👉 総原価基準

で請求する必要があります。


■請求対象費用

区分内容
直接費航空運賃・宿泊費
人件費給与・賞与
社会保険料法定福利費
間接費管理部門費配賦

👉

利益上乗せ不要(通常)


5.なぜ利益を乗せなくてよいのか

理由は

👉 独自技術提供がない
👉 本業でもない
👉 一時支援


■利益上乗せが必要なケース

ケース内容
技術供与ノウハウ提供
継続役務常時支援
コンサル業務主業務

6.実務で重要な契約書

税務調査では

🔥 契約書が最重要

です。

■必要記載事項

項目内容
役務内容点検支援
費用範囲原価項目
配賦方法合理基準
精算方法実費請求

7.税務調査で見られる論点

論点内容
利益操作ないか
配賦合理性人数・時間
実態確認出張記録
移転価格文書作成有無

■まとめ

ポイント内容
国外関連者該当
役務提供該当
請求基準総原価
利益上乗せ原則不要

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