海外子会社に対する支援費用の取扱い
~海外子会社に社員を派遣し費用を負担した場合の法人税実務~
■質問
当社は機械部品の製造会社です。得意先の海外進出に伴い、2年前に東南アジアのA国に部品製造を行う子会社B社(当社100%出資)を設立しました。
その後、B社の製造設備が本格稼働し、景気回復により大量受注が発生しましたが、現地では組立ラインの人員が不足している状況となりました。
そこで緊急措置として、当社から社員10名を6か月間派遣することとしました。
派遣に際しては航空運賃、現地滞在費、給与などの費用が発生しますが、B社は資金繰りが厳しいため、これらの費用はすべて当社が負担することで合意しています。
この場合、当社が負担するこれらの費用は税務上どのように取り扱われるのでしょうか。
■論点整理
本事例の重要論点は次のとおりです。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 論点① | 子会社のための費用負担は寄附金となるのか |
| 論点② | 国外関連者に対する寄附金の損金算入制限 |
| 論点③ | 再建支援費用として認められる可能性 |
| 論点④ | 実務上の処理方法(出向料・業務委託料との違い) |
1.経済的利益の供与=寄附金となる
法人税では
👉 無償で相手に利益を与える行為は寄附金
と扱われます。
■寄附金の基本整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金銭支出 | 寄附金 |
| 債務免除 | 寄附金 |
| 無償役務提供 | 寄附金 |
| 費用肩代わり | 寄附金 |
👉 本事例は
海外子会社の費用を親会社が肩代わりしている
ため
➡ 寄附金となります。
2.国外関連者とは
ここは非常に重要な論点です。
■国外関連者の定義
| 判定基準 | 内容 |
|---|---|
| 出資割合 | 50%以上 |
| 支配関係 | 直接・間接含む |
| 外国法人 | 対象 |
👉 100%子会社
➡ 完全に国外関連者
3.国外関連者寄附金の税務効果
ここが最大のポイントです。
■損金算入の取扱い
| 区分 | 損金算入 |
|---|---|
| 一般寄附金 | 限度額まで |
| 国外関連者寄附金 | 原則損金不算入 |
👉 つまり
費用として認められない
4.本事例の結論
当社が負担する費用は
| 費用内容 | 税務処理 |
|---|---|
| 航空運賃 | 寄附金 |
| 滞在費 | 寄附金 |
| 給与 | 寄附金 |
➡ 全額損金不算入
5.ただし例外(再建支援費用)
非常に実務重要です。
■寄附金とならないケース
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 経営危機 | 倒産回避 |
| 事業合理性 | 親会社利益確保 |
| 継続支援 | 取引維持 |
👉 単なる人手不足
➡ 通常は該当しない
6.実務でよくある代替スキーム
ここが実務力です。
■出向料スキーム
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 社員派遣契約 | 締結 |
| 出向料請求 | 親→子 |
| 適正価格 | 必須 |
➡ 寄附金回避可能
■業務委託契約
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 技術支援契約 | 締結 |
| 役務提供対価 | 受領 |
| 移転価格文書 | 必須 |
7.税務調査で見られるポイント
🔥 超重要
| 調査論点 | 内容 |
|---|---|
| 無償支援の合理性 | なぜ請求しないか |
| 価格設定 | 独立企業間価格 |
| 契約書 | 存在するか |
| 出向実態 | 指揮命令関係 |
■まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 子会社費用負担 | 寄附金 |
| 国外関連者 | 損金不算入 |
| 回避策 | 出向料請求 |
| 実務対応 | 契約必須 |