【通勤手当の税務】タクシー通勤は非課税になる?
― 通勤手当の非課税限度額と給与課税の判断 ―
■ 事例(質問)
当社では役員にタクシー通勤を認めています。
- タクシー代は会社が直接支払い
- 月額:約5万円
なお、電車通勤をした場合の通勤定期代は
月額2万円です。
通勤手当の非課税限度額以内であるため
源泉徴収は不要と考えていますが問題ないでしょうか。
■ 【論点整理】この事例の重要論点
本件の論点は次の通りです。
✔ タクシー代は通勤手当の非課税対象か
✔ 「合理的な通勤経路」の考え方
✔ 公共交通機関利用可能な場合の取扱い
✔ 非課税限度額の基準
✔ 給与課税となる金額
👉 役員通勤費は税務調査でよく指摘される論点です。
■ 結論(最重要)
公共交通機関で通勤可能な場合は
👉 タクシー通勤は合理的と認められません。
したがって
- 電車定期代2万円を超える
- タクシー代3万円分
👉 給与として課税(源泉徴収必要)
となります。
■ 通勤手当の非課税制度(基礎整理)
通勤手当は
👉 一定限度まで非課税
(根拠:所得税法9条1項五号、所得税法施行令20条の2)
■ 非課税限度額(重要表)
① 公共交通機関のみ利用
| 区分 | 非課税額 |
|---|---|
| 合理的な運賃 | 全額非課税 |
| 上限 | 月15万円 |
② マイカー・自転車通勤
| 片道距離 | 非課税額 |
|---|---|
| 55km以上 | 31,600円 |
| 45km以上 | 28,000円 |
| 35km以上 | 24,400円 |
| 25km以上 | 18,700円 |
| 15km以上 | 12,900円 |
| 10km以上 | 7,100円 |
| 2km以上 | 4,200円 |
| 2km未満 | 全額課税 |
③ 交通機関+マイカー併用
👉 合計額が
合理的運賃の範囲内(上限15万円)
■ 「合理的な運賃」とは何か
税務上は
👉 最も経済的かつ合理的な通勤経路
で判断します。
つまり
- 時間
- 距離
- 通勤手段
- 社会通念
を総合判断します。
■ 本件の税務判断
本件では
- 電車通勤可能
- タクシーは利便性目的
👉 合理的通勤手段ではない
したがって
課税対象額
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| タクシー代 | 5万円 |
| 非課税限度 | 2万円 |
| 課税対象 | 3万円 |
■ 例外的に非課税となるケース
次の場合は非課税となる可能性があります。
✔ 深夜早朝勤務
✔ 公共交通機関がない地域
✔ 災害等による代替交通
✔ 緊急業務対応
👉 この場合
合理性が認められれば非課税
■ 税務調査で見られるポイント
- 通勤経路図
- 勤務時間
- タクシー利用理由
- 社内規程
- 他社員との均衡
👉 役員のみ特例扱いは否認リスク高い
■ まとめ
- タクシー通勤は原則給与課税
- 非課税は合理的運賃が基準
- 電車通勤可能なら差額課税
- 例外は業務必要性が鍵
- 通勤規程整備が重要