【税務実務】定期同額給与の減額
〜定期同額給与の減額はどこまで認められる?公認会計士が分かりやすく解説〜
会社経営をしていると必ず出てくる悩みがあります。
👉
「資金繰りが苦しいので、まずは社長の給与を下げたい」
これは非常に自然な判断です。
しかし税務上は
役員給与の減額は自由にできるわけではありません。
むしろ
安易に減額すると損金算入が認められない可能性があります。
本記事では
✔ 定期同額給与の基本ルール
✔ 減額が認められるケース
✔ 実務上の注意点
✔ 税務調査で見られるポイント
をプロの会計士・税理士の視点で丁寧に解説します。
■事例
当社は3月決算法人です。
代表取締役Aに対し
毎月100万円の役員報酬を支給しています。
しかし
- 業績が前期より悪化
- 数ヶ月前から資金繰りが厳しい
という状況になりました。
そのため
👉 10月から50万円に減額したいと考えています。
この減額は税務上問題ないでしょうか。
■結論
単なる
👉 一時的な資金繰りの都合だけでは減額は認められません。
■そもそも「定期同額給与」とは?
税務上
役員給与は原則として
👉 毎月同額で支給されるものだけが損金になります。
これを
定期同額給与といいます。

理由はシンプルです。
👉
会社が利益調整目的で
「役員給与を自由に増減できないようにするため」
です。
■役員給与を改定できる3つのタイミング
税務上、次の場合のみ変更が認められます。
①期首から3ヶ月以内の改定(最も基本)
例えば
- 4月開始 → 6月までなら自由に改定可能
これは
**通常改定(定時改定)**と呼ばれます。


②役員の職務内容の重大変更
例
- 代表取締役 → 会長
- 非常勤化
- 権限縮小
- 事業責任の変更
👉 実質的な役割変更が必要です。
③経営状況が著しく悪化した場合(重要)
ここが実務で最も論点になります。
国税庁は次のような場合を認めています。
✔ 金融機関からの要請
- 借入返済条件の変更交渉
- リスケジュール
- 役員給与削減が条件
これは非常に強い理由になります。
✔ 株主・取引先への信用維持
例
- 大幅赤字
- 債務超過
- 継続企業の疑義
- 主要取引停止リスク
👉 会社存続のための減額は認められやすい
✔ 経営改善計画に基づく減額
- 再建計画
- 事業再生
- モニタリング契約
👉 第三者関与があると非常に有効です。
■今回の事例の判断
今回のケースは
- 一時的な資金繰り悪化
- 中間決算で利益低迷
のみです。
この程度では
👉
「著しい経営悪化」とまでは判断されない可能性が高い
です。
したがって
❌ 減額しても税務上は
100万円支給したものとみなされるリスクがあります。
■税務否認された場合の恐ろしい影響
もし否認されると
- 減額分は損金不算入
- 法人税増加
- 延滞税
- 加算税
さらに
👉 税務調査で役員給与は必ず重点チェック項目です。
■実務上の安全な対応方法
役員給与を減額する場合は
次の証拠を揃えることが重要です。
✔ 金融機関との交渉記録
✔ 資金繰り表
✔ 経営改善計画
✔ 取締役会議事録
✔ 業績悪化の定量資料
👉
「会社存続のためにやむを得ない」状態を作ることが重要です。
■まとめ
役員給与の減額は
✔ 自由にはできない
✔ 一時的資金不足では不可
✔ 客観的な経営悪化が必要
という点が最大のポイントです。
役員給与は
👉
税務上最も形式要件が厳しい論点の一つ
です。
減額を検討する際は
必ず税理士・会計士と事前相談することが重要です。