【実務必読】特例否認事例集(取引相場のない株式評価)
― 取引相場のない株式の特例的評価はどこで否認されるのか ―
取引相場のない株式の評価において、
「原則評価では不合理だから特例的評価を用いた」というケースは実務上存在します。
しかし、
特例評価は“例外中の例外”
であり、安易な適用は税務調査で否認されるリスクがあります。
本記事では、実務で問題になりやすい否認パターンを整理し、
どこが争点になるのかを具体的に解説します。
1.大前提:特例が認められる条件
特例的評価が許容されるのは、
- 原則評価が著しく不合理
- 客観的事情が存在
- 継続的事実に基づく
場合に限られます。
「評価額が高いから」という理由では認められません。
2.否認事例① 清算予定会社と主張したケース
■ 事案の概要
- 相続直前に清算予定と主張
- しかし実際には清算手続未着手
- 営業活動継続中
■ 税務署の判断
清算確実性がないため原則評価を適用
■ 否認ポイント
✔ 株主総会決議の有無
✔ 清算登記の有無
✔ 営業停止の事実
単なる「予定」では足りません。
3.否認事例② 赤字会社=ゼロ評価としたケース
■ 事案
- 数期連続赤字
- 将来回復困難と主張
- 純資産マイナス評価
■ 否認理由
- 将来収益可能性あり
- 事業継続中
赤字=価値ゼロではありません。
4.否認事例③ 相続直前の利益圧縮
■ 事案
- 相続前に多額退職金支給
- 配当実施
- 不動産売却
評価引下げを狙った行為と判断。
■ 税務署の視点
✔ 不自然なタイミング
✔ 経済合理性
✔ 過去の実績との比較
「形式」より「実質」で判断されます。
5.否認事例④ 休眠会社の過小評価
営業実態がないとして特例評価を適用。
しかし、
- 不動産保有
- 将来活用可能性
が認められ、純資産ベースで評価。
6.否認事例⑤ 株式分散による少数株主化
直前に株式を分散し、
配当還元方式を適用
しようとしたケース。
同族関係で支配力が維持されていると判断され否認。
7.否認を防ぐための実務対応
✔ 原則評価が不合理である理由を明確化
✔ 事実関係の証拠保存
✔ 継続性の確認
✔ 恣意的操作の排除
8.まとめ
特例的評価は、
「例外を正当化できる客観性」
がなければ否認されます。
税務調査では、
- 時系列
- 取引の合理性
- 実態
が精査されます。