【判例ベース】行為計算否認と役員給与

―「定期同額」だけでは守れないケースとは ―

役員給与は、同族会社の税務調査で最も行為計算否認が使われやすい論点です。
「定期同額給与」「事前確定届出給与」を満たしていても、“実質”が不自然であれば否認され得る点が、実務の落とし穴です。

1.行為計算否認が問題になる前提

行為計算否認は、
同族会社 × 税負担を不当に減少させる行為
がそろった場合に適用されます。
役員給与では、金額・決定時期・業務実態が総合判断されます。


2.判例で示された判断軸(要点整理)

判断軸判例が重視したポイント
経済合理性第三者役員でも同額が妥当か
業務実態職務内容・責任の重さ
決定プロセス事前性・議事録の有無
業績連動業績との相関・算定根拠
金額水準同業・同規模比較

👉 形式要件の充足は“入口”に過ぎない、というのが判例の共通メッセージです。


3.否認された典型パターン(判例型)

事例①:業績と無関係な大幅増額

  • 売上・利益が横ばい(または悪化)
  • 決算直前に役員給与を急増
  • 明確な算定根拠なし

判断:利益圧縮目的が強く、第三者基準に反する
結論:増額部分を損金不算入


事例②:名目的役員への高額報酬

  • 親族役員だが実務関与が希薄
  • 高額報酬を継続支給

判断:実質は利益分配
結論:全額または一部否認(給与認定・配当認定の併発リスク)


事例③:成果指標のない「業績連動」

  • 「業績連動」と称するがKPI不明
  • 裁量で金額決定

判断:恣意性が高い
結論:行為計算否認


4.否認を避ける実務設計(チェックリスト)

  • 役割・責任に即した職務記述がある
  • 同業・同規模の比較資料を保存
  • 事前決定(期首・取締役会)
  • 業績連動は指標・算式を明文化
  • 増減理由を文章で説明可能

まとめ

役員給与は

「定期同額」+「経済合理性」
の両輪が不可欠。
説明できない金額は、判例ベースで否認されやすい、が結論です。

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