【借地権の税務】借地権及び地代の取扱い

― 借地権認定課税の実務完全整理 ―


■ 事例(質問)

この度、代表者が所有している土地に会社の本社事務所を建築する予定です。

しかし建築費用の支払いもあり資金的余裕がないため、

  • 権利金は支払わない
  • 地代も支払わない

予定です。

この場合、税務上問題はありますか。


■ 【論点整理】この事例の重要論点

本件の最大論点は次の通りです。

✔ 無償で土地を使用すると借地権の認定課税が生じるか

具体的には

  • 借地権を無償取得したと認定されるか
  • 借地権相当額が受贈益課税されるか
  • 届出書の提出で課税回避できるか

👉 これは中小企業で非常に多い税務調査論点です。


■ 結論(最重要)

代表者に

  • 権利金も
  • 地代も

一切支払わず

👉 「土地の無償返還に関する届出書」を提出しない場合

会社は

👉 借地権を無償取得したと認定され
借地権相当額が受贈益として課税されます。

(根拠:法人税法施行令137条、法基通13-1-7)


■ なぜ借地権課税が生じるのか(実務理解)

通常

👉 他人の土地に建物を建てる場合
権利金の授受が行われるのが社会通念

そのため

  • 権利金なし
  • 地代も低額

の場合

👉 経済的利益を無償取得したと判断されます。

(根拠:法基通13-1-2)


■ 借地権課税を回避する方法(実務で超重要)

方法は2つあります。

① 相当の地代を支払う

👉 更地価額の
年6%程度が目安

(根拠:法基通13-1-2)

さらに

  • 地代改訂方法届出書の提出
  • 約3年ごとに地代改訂

が必要です。


② 無償返還届出書を提出する

条件

  • 権利金なし
  • 将来土地を無償返還する契約

この場合

👉 借地権認定課税は行われません。

(根拠:法基通13-1-7)


■ 税務処理の整理(最重要表)

個人地主 × 法人借地人

ケース地主課税法人課税
権利金あり不動産所得 or 譲渡所得借地権資産計上
相当地代あり不動産所得地代損金算入
無償返還届出あり課税なし課税なし
無届・無地代課税なし借地権受贈益課税

👉 最も危険なのは
「無届・無地代」ケース


■ 相当の地代の計算実務

相当の地代の基準となる土地価額は

次の方法も認められます。

土地価額の求め方内容
公示価格等近隣土地から算定
相続税評価額過去3年平均可

(根拠:法基通13-1-2)


■ 税務調査でよく指摘されるポイント

  • 契約書未作成
  • 地代設定が低すぎる
  • 届出書未提出
  • 実態は会社資産なのに個人名義
  • 相続対策と混同

👉 代表者土地は調査重点項目です


■ 本件の実務判断

今回のケースでは

  • 権利金なし
  • 地代なし

のため

👉 届出書を出さない限り
借地権受贈益課税が発生

したがって

実務上の最適対応

  • 無償返還届出書提出
  • 契約書整備
  • 土地評価資料保存

が必要です。


■ まとめ

  • 他人土地に建物=借地権課税リスク
  • 回避策は「相当地代」又は「無償返還届出」
  • 無届は受贈益課税
  • 中小企業で頻発論点
  • 契約書整備が極めて重要

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