【一部回収見込がある場合の貸倒損失処理_初心者向け】
一部回収見込がある場合の貸倒損失処理
―「全額は落とせない」その理由と正しい落とし方 ―
貸倒損失でよくある悩みが、次のケースです。
「回収は厳しそうだけど、
少しは戻るかもしれない…
この場合、どう処理する?」
税務の答えはシンプルです。
一部でも回収見込があるなら、
“回収不能と確定した部分だけ”が損金
1.税務の大原則(まずここ)
貸倒損失は、
回収不能が“確定した金額”だけ
しか損金になりません。
✔ 全額回収不能 → 全額損金
✔ 一部回収見込あり → 差額のみ損金
👉 「全体が厳しい」では足りません。
2.一部回収見込がある典型パターン
パターン① 法的整理で配当が見込まれる場合
例
- 売掛金:1,000万円
- 破産手続開始
- 配当見込:10%(100万円)
税務処理
- 回収見込額:100万円 → 落とせない
- 回収不能額:900万円 → 貸倒損失OK
👉 「全額」ではなく「900万円」だけ。
パターン② 再生計画・分割弁済がある場合
例
- 民事再生で弁済率30%
- 返済スケジュール確定
👉 返ってくる部分は“資産”のまま
👉 落とせるのは残り70%
3.やってはいけないNG処理(超重要)
| NG処理 | なぜダメ? |
|---|---|
| 全額貸倒処理 | 回収可能性を無視 |
| 「どうせ払われない」判断 | 主観 |
| 配当見込を考慮しない | 過大計上 |
| 翌期に戻し入れ前提 | 恣意的 |
👉 一部回収見込があるのに全額落とすと、ほぼ確実に否認。
4.覚え方(初心者向け)
「戻る1円は、落とせない」
この一言でOKです。
5.税務調査で必ず聞かれる質問
- 「配当見込はいくらですか?」
- 「その根拠資料は?」
- 「なぜその金額だけ落としたのですか?」
👉 金額算定の根拠資料(通知・再生計画)が命。
6.実務チェックリスト(一部回収見込)
- 回収見込額を具体的に算定しているか
- 第三者資料(裁判所・管財人等)があるか
- 落としたのは“残額だけ”か
まとめ
一部回収見込がある場合は、
「全額かゼロか」ではなく
「回収不能と確定した部分だけ」
これが税務の鉄則です。