【グループ法人税制】100%子会社への無利息貸付は寄附金になる?
― 完全支配関係における税務処理を公認会計士が実務解説 ―
■ 事例(質問)
当社は100%子会社A社が工場を新設するにあたり、
1億円の資金を貸付ける予定です。
A社は債務超過ではありませんが資金繰りが厳しいため、
利息を免除する予定です。
この場合
- 利息相当額は寄附金になるのか
- 100%グループ法人間では特別な取扱いがあるのか
教えてください。
■ 結論(重要ポイント)
👉 子会社への無利息貸付は原則
利息相当額が寄附金として取り扱われます。
ただし
👉 100%グループ法人間では特別ルールがあり
- 親会社:寄附金は全額損金不算入
- 子会社:受贈益は全額益金不算入
となります。
(根拠:法人税法37条、法人税法25条の2)
■ なぜ利息免除は寄附金になるのか
税務上の寄附金とは
👉 金銭だけでなく経済的利益の無償供与も含む
とされています。
つまり
- 無利息貸付
- 低利貸付
は
👉 本来得るべき利息を放棄した
= 経済的利益の供与
と考えられます。
(根拠:法人税法37条7項)
■ 完全支配関係(100%グループ)の特例
完全支配関係がある場合
通常の寄附金課税とは異なります。
税務処理の整理
| 区分 | 親会社 | 子会社 |
|---|---|---|
| 利息相当額の扱い | 寄附金 | 受贈益 |
| 税務調整 | 全額損金不算入 | 全額益金不算入 |
| 所得への影響 | 所得増加 | 所得減少 |
👉 グループ全体では
課税所得は中立化される仕組み
(根拠:法人税法37条、法人税法25条の2)
■ 通常の寄附金との違い(実務理解)
通常の寄附金
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 損金算入 | 限度額あり |
| 超過部分 | 損金不算入 |
100%グループ法人間
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 損金算入 | 全額不可 |
| 受贈益 | 全額益金不算入 |
👉 つまり
損益をグループ内で移動させない制度
■ ただし寄附金にならない例(重要)
次のような場合は
そもそも寄附金認定されません。
✔ 合理的な再建計画がある場合
例
- 金融機関との再建スキーム
- 事業再生計画
- 将来返済可能性あり
👉 この場合
無利息貸付はやむを得ない経済合理性あり
→ 寄附金にならない
(根拠:法基通9-4-2)
■ 本件の実務判断
今回のケースは
- 債務超過ではない
- 再建計画なし
- 単なる資金繰り支援
であるため
👉 原則
寄附金認定される可能性が高い
■ 税務計算イメージ(利息相当額100の場合)
親会社
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 受取利息認定 | +100 |
| 寄附金計上 | △100 |
| 損金不算入 | +100 |
| 所得影響 | +100 |
子会社
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 支払利息認定 | △100 |
| 受贈益計上 | +100 |
| 益金不算入 | △100 |
| 所得影響 | △100 |
👉 グループ全体では
プラスマイナスゼロ
■ 税務調査でよく問題になる論点
- 金利設定が恣意的
- 再建計画が形式的
- 書面証拠不足
- 実質資本注入と認定
- 貸付ではなく出資と判断
■ 実務上の重要対策
- 金銭消費貸借契約書作成
- 市場金利の検討資料保存
- 再建計画書作成
- 取締役会議事録整備
- 返済スケジュール設定
👉 税務は形式+実態の両方を見ます
■ まとめ
- 無利息貸付は原則寄附金
- 100%グループは特殊処理
- 再建合理性があれば寄附金回避可能
- グループ所得は中立化
- 書面整備が極めて重要